ひろかわさえこの絵本とそれから・・・


by pukuminn

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戦争証跡博物館の入り口を入ったところで、キーボードを演奏し、手作りのビーズのバッグや小物を販売しているグループがいます。
皆、枯れ葉剤の被害で、障害を持った人達です。

ベトナム戦争で、物量にものを言わせて攻めるアメリカ軍に対抗して、ベトナム解放戦線はジャングルでのゲリラ戦を展開しました。ジャングルは自然の要塞ともいうべきものでしたが、アメリカ軍は枯れ葉剤をもってそのジャングルを破壊しました。
南ベトナムの森林や農村、田畑に7500万リットルもの枯れ葉剤が撒かれたのです。
農村や田畑にまで撒かれたのは、解放戦線の食料源を断つ為です。
枯れ葉剤を撒かれた樹々は、24時間で変色し始め、1ヶ月余で落葉するそうです。そして更に、新芽が出るのをおさえる為に、くりかえして散布が為されました。
散布面積の合計は170万ヘクタール、ほぼ四国と同じ面積だそうです。
枯れ葉剤には、農薬の100万倍近い毒性を持つ、ダイオキシンが含まれています。
ダイオキシンが人間の体内に取り込まれることで、がんの発生、奇形の発生、免疫の異常、発育の異常などが起こります。
人道的に使っても良い兵器、などというものは有り得ませんが、その中でも核兵器と並んで、最も非人道的な科学兵器と言えるのではないでしょうか?

博物館の方のはからいで、私たちは枯れ葉剤の被害者の方たちと交流する時間をいただきました。
一緒にマットの上に座って、ビーズのとんぼの作り方を教えていただきました。
皆さん成人ですが、わりあい若い方です。たぶん、親の世代が枯れ葉剤を浴びたのでしょう。
指、手足の欠損、視覚聴覚障害、発育障害、様々です。ずっとキーボードでバックミュージックを弾いてくれている彼は眼球がありません。
こうして人前に出て来るまでに、長い時間がかかったと、博物館の方が仰っていました。
でも、自らの障害を展示することで枯れ葉剤の被害を訴え、自らの手で物を作って売ることで、自活の道を目指しています。
私はなんと、とんぼ作りに失敗してしまい、先生のギンさんが自分の作ったのをくださいました。

これが、そのトンボと、気に入って買ってきた可愛いミニポーチです。
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翌日は、特別に許可をいただいて、ホーチミンで一番大きな産婦人科の病院、トゥーヅー病院に併設されている、平和村を訪問させていただきました。
平和村には、枯れ葉剤の影響と思われる、障害をもった子どもたちが暮らしています。

ここの病棟の3階に、平和村があります。
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入り口。PEACE VILLAGEの文字があります。
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3階にあがり一番手前の部屋に案内されました。ここからは,撮影が不可です。
入り口で,皆に抱きついて来た子がいました。背丈は4、5歳児くらい。でも痩せているので、抱き上げると軽いです。あとから、彼がもう15歳であることを知りました。知能の発達は2、3歳児くらいでしょうか?盛んに抱っこをせがみ、外へ連れていくように促すので、ちょっとせつなかった。
訪問者が珍しいのか、小さな部屋に子どもたちが集まってきます。
ここの子どもたちは、ほとんどが親のいない子どもたちです。祖父母たちが枯れ葉剤を浴び、孫の代に障害が出ているのです。生まれた子を見て、逃げ出す親や、治療費が高いのでやむなく捨てざるを得ない親、、、政府の援助も多くありません。枯れ葉剤の被害が明確であっても、未だアメリカからは何の保障も無いそうです。
ちょうど昼食時で、大きな子は小さな子や障害の重い子の世話をしています。
看護師さんにお話を聞きながら、子どもたちと遊びました。
うささんが、持参した絵本をプレゼントすると、大盛り上がり!絵本のうささんの写真と本人を見比べて、大騒ぎ。絵を描いてくれと言いだしたので、たまたま藁半紙の小さなスケッチ帳と鉛筆を持っていた,私が描くことになりました。
最初は十代の綺麗な女の子。きりっとした眉に切れ長の瞳、美人です。描いてあげた絵を見せると、彼女の顔にふわっと照れた嬉しさが広がってお年頃の女の子の表情になりました。それからは、次々と。私は、似顔絵などほとんど描いたことが無いのですが、5人、6人と夢中で描きました。
皆喜んでくれました。絵を描くことが、こんな所で役にたつとは思わなかったです。
絵描きでよかった、と思いました。
そしたら、やはり十代と思われる女の子、リンちゃんが、自分も描くと言い出したので
リクエストして私を描いてもらいました。鉛筆の線に力があります。
リンちゃんは、背丈は大人くらいありますが、知能は7歳くらいなのだそうです。
よーく観察して描いてくれました。子どもの線は迷いがなくて素敵です。
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1時間余り、あっという間の時間でした。
私たちは旅人です。彼らにとっては,通り過ぎて行く人です。とどまって、彼らと暮らすわけではありません。私たちは健常者だけれど、こうして交流すると彼らからもらうものが、遥かに大きく自分は無力です。
博物館の彼らはとても優しく、平和村の子どもたちは明るく可愛く、とても人懐っこいのです。
たくさん癒してもらいました。
お腹の底から感動し、自分もしっかり生きなくちゃと元気をもらいました。
何度でも、ありがとうと、言いたかったです。





by pukuminn | 2015-04-21 06:00 |
戦争証跡博物館の2階に、White Doveという、子どもたちや親子が遊んだり、平和や環境のことを学ぶための部屋があります。私たちの「震災で消えた小さな命展」の複製画が、今、この部屋で展示されています。

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White Doveの部屋。壁には北部、中部、南部のベトナムの景色が描かれています。

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いわさきちひろさんの紹介と絵も数点かけられています。
ここで、大先輩の絵に遭遇するのは,とても嬉しく、そしてちひろさんの仕事の意味の大きさを、あらためて想います。

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この写真は、ベトナム戦争当時子どもたちの写真です。
頭を守るために稲藁で作った帽子をかぶっています。子どもたちが自分で作っていたそうです。
見本が置いてあったので、頭に乗せてみましたが、ずしっと重いものでした。

いろいろな国の衣装もあって、日本の?もありましたが、どうも中国の服のようでした。
少し、まだ混同があるようです。金髪のかつらが有ったのでかぶってみました。
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大分、若返ります。うささんは?というと・・・
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ライオンに変身!
ちょっと,遊んでしまいました。
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命展の絵です。お送りした24点のうちの半分がかけられています。後期に、残りの12点と入れ替えて、何度も観に来てもらえるように配慮していただいています。
私の複製画は、命展2の時の牛の絵です。ベトナムは牛が身近にいるので、馴染み深いようです。
郊外に連れて行っていただいた時には、ずいぶん牛の姿を見ました。角の大きな水牛もいました。
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やがて、子どもたちとの交流会が始まりました。
まずは、命展のお話をうささんから。みんな熱心に聞いてくれます。
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そのあと、私が子どもたちに紙芝居と絵本を読みました。
日本では状況が解らなくて、もっと小さな子どもたちかと思っていたら、集まってくれたのは5年生だそうで、ちょっと持って行ったものが幼過ぎたかな?

でも、風木一人さん作の「おやゆびさん」は、みんなが一緒に手を動かして聞いてくれました。
指の遊びは、国境がありません。これを持って行って良かったです。

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紙芝居「ごろん」

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「おやゆびさん」皆、楽しそうに指を動かしてくれました。

最後に皆で記念写真。こどもたち、どうもありがとう!
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by pukuminn | 2015-04-20 00:13 |
4月の9日から14日、ベトナムのホーチミンに行って来ました。
御縁があって、「震災で消えた小さな命展」の複製画が、ホーチミンの戦争証跡博物館に展示されています。博物館の館長さんが、戦跡見学や枯れ葉剤の被害にあった人々との交流などを企画してくださるというので、めったにない機会と参加しました。
5泊6日の旅、二日は移動でとられ中4日でしたが、
見た事、知った事、感じた事、
楽しい事、辛い事、美しいもの、景色、ひと、
ぜんぶ、抱えきれなくて、今でも整理しきれません。
でも、伝えたいこと、伝えなくてはならないことが有るように思うので、
探りながらブログに書いてみようと思います。

まずは、戦争証跡博物館のこと。
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ここは,ベトナム戦争の貴重な資料を展示する博物館。
門を入ると左右に戦闘機や戦車が展示されています。直に見ると、大きさに圧倒されます。

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日本の軍隊も、第二次世界大戦の頃にはベトナムに侵攻していましたが、
第二次世界大戦の直後から始まったベトナム戦争は1975年まで、実に30年も続きました。
私の生まれる前から始まって、サイゴンが陥落して戦争が終わったのは,22歳の時です。
十代の頃、日々新聞やニュースで報道されていたベトナム戦争は、
海の向こうの事ではありましたが、確実に私たちの青春時代の一部でも有りました。
「安保反対!」と「ベトナム戦争反対!」セーラー服で飛び入りデモしたのは
今では軽薄だったと思うけれど、対岸の火事とは片付けられない空気が残っていたのです。
大學の頃には、まだあった立川基地でベトナム戦争で戦死したアメリカ兵の身体を洗浄する高額なアルバイトが有るという話を聞きました。
およそ300万人近くのベトナム人が死亡、400万人のベトナム人が負傷し、また5万8千人以上のアメリカ兵が死亡したといいます。
ベトナムにもアメリカにも、大きな傷跡を残した戦争でした。

博物館の中には大きな展示室がいくつかあり、世界中の戦場カメラマンが撮った、ベトナム戦争の写真がパネル展示されています。日本の沢田教一、一ノ瀬泰三、石川文洋の写真もあります。
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この博物館には、結局毎日行くことになりましたが、とても人が多く
土日には5000人、年間60万人の外国人が訪れるそうです。
ベトナムの人々の、二度と戦乱の国にはしないという誓いがここにあります。
ベトナムの平和は、ベトナムの人々が本当に戦い勝ち取った平和です。
皆がそれを誇りに思っていることが伝わってきます。
目を背けたくなる辛い写真もありますが、是非多くの人に見て欲しい展示だと思います。

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            武器の残骸から作られた、ベトナムの母の像


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1階のホールから見上げた吹き抜けの天井の青い空



by pukuminn | 2015-04-18 18:42 |

春のうさぎ

お知らせふたつ

ひとつめ。
遅くなりましたが、13日から青山のPinpointギャラリーで始まった
「中川ひろたかタッグマッチ展」に出展しています。
中川さんと、中川さんがこれまで組んで来た画家五十数人とのコラボ展です。
どんな展覧会になっているのか?実は私もまだ見ていません。
「ともだちになろうよ」からちょっと懐かしい、あのふたりを描きました。
会いに行ってね。私も近々・・・と思っています。

「中川ひろたか タッグマッチ展」
2015年4月13日(月)〜4月25日(土)
11:00~19:00 土曜日17:00まで 日曜休み
青山Pinpointギャラリー
http://www.pinpointgallery.com/cn8/201504/pg5045.html

       
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ふたつめ。
こちらも遅くなりましたが、昨年月刊誌デビューした「たんぽぽでんしゃ」が
3月に市販本になりました。
「もしもしトンネル」の続編ですが、実はお話が出来たのはこちらが先でした。
そんなことも、あります。
幼なじみのYちゃんがいないと、幼稚園も行けなかった自分の小さい頃が
ベースになったお話です。
ちょっと引っ込み思案な子が居たら、読んであげてほしいお話です。

「たんぽぽでんしゃ」チャイルド本社  
   
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by pukuminn | 2015-04-17 17:08 | おしごと
桜が散りいそぐ雨の東京をあとに、まだ桜に早い盛岡に一泊で行ってきました。
目的は、3月から東北で巡回展が始まった「震災で消えた小さな命展」です。
東日本大震災関連で命を落とした動物たちの絵を描いて、
飼い主さんへプレゼントしようと始まった企画で、今回で3回目になります。
4月2日から5日が岩手県盛岡開催でした。
5日の最終日に私が描かせていただいた絵のわんちゃんの飼い主さんが、会場にみえるということで、急遽、私も駆けつけることにしたのです。

東京から新幹線で北上するにつれて、どんどんお天気が良くなり…晴れ女の面目躍如。

盛岡市内を流れる北上川からのぞむ岩手山、美しい山です。
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会場のクロステラス入り口
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飲食店やファッション雑貨、岩手の物産館など入ったショッピングモールです。

ここが会場
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私も今回の展示を見るのは、初めてで、じっくり見せてもらいました。
今回はそれぞれの動物たちの飼い主さんからのコメントが絵に添えてあります。
どの絵に添えられた言葉も胸をつきます。
いかに震災が過酷なものであったか…
そして、家族を失うことの悲しみの深さ…
3年の月日を経てやっと口に出来たことば…

飼い主さんが会いにきてくれるのを,静かに待っている絵の中の動物たちは
期待をこめてじっとこちらを見ているように思えます。
みんなとても可愛いです。
今回は他の震災や、人災によって不幸にあった動物たちの絵もあります。
ヒトの身勝手さも、垣間見えてきます。

二日目、私が描いた1歳のラブラドールのアランちゃんも御家族と再会することが出来ました。
なんとか,私も責任が果たせてほっとしました。
今回はアランちゃんと、ご家族の中で犠牲になったお嬢さんも一緒です。
まだ17歳。辛いです。
風のように駆け抜けて行った命。安らかでありますように。

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一昨年の秋に、やはりこの展覧会の2で知り合った素敵なお友達・・・浦島さんと千崎さん。
二人共娘みたいなんですけど。
沿岸部の方から時間をかけて会いにきてくれました。
ありがとう。とてもとても嬉しかったです。
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そして、この展覧会の主催者うささんと。

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彼女の身体をはった頑張りが無ければ、
ここまでやって来ることは出来なかったと思います。
私とちがって、小柄で細いのにね。
動物たちのために突き動かされるパワーは凄いのですが
自分の身体も大事にして欲しいですよ。
それから、お写真は無いのですが、
クロステラスの本当に素敵な社長さんの三田さん、マネージャーの北田さん
とってもお世話になりました。
おかげさまで楽しかったです。ありがとうございました。




最後に盛岡に来たから見れた、皆既月食のお月様。
笑ってますよね^^

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by pukuminn | 2015-04-06 02:35 | イベント

春がきて

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春がきて、また桜の季節です。
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4月、子どもたちのところへ、去年描かせていただいたこぶたちゃんが遊びに行っています。

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鈴木出版 こどものくに たんぽぽ版 4月号
間部香代さんの作になります。

これを描いていたのは、去年の個展の直前だったのですが、
時間に追われていたにも関わらず、とても楽しい仕事でした。
テンポの良いストーリー展開、それに私好みのオノマトペがいっぱい!
作家さんと組んで作る絵本は,何方かと言えば少ないのですが、
その中でも、こういうノリで描けた本はそう多くありません。
何だろう?フィーリング?
お話をいただいた途端に、こぶたちゃんがいる周りの景色がふわっと,頭の中に広がって、
「そうそう、そこには藁の山、畑にはキャベツね…」という具合。

あと、動物が主人公の場合、多かれ少なかれ擬人化というのが有るのですが、
「動物化したヒト」の場合と、「ヒト化した動物」の場合が有るように思うのです。
前者は形が動物なだけで,行動も気持ちもまるで人間。
後者はヒトのような暮らしをしていても本質が動物。
どちらが良いという事ではないのですが、これはとっても似て非なるものに思えるのです。
で、今回のこぶたちゃんは、行動は幼児そのものなのだけれど、
私としては後者の擬人化で描きたかったのです。
で、そういう豚がなかなか今迄描けなかったのですが、今回のこぶたちゃんは
ちゃんと豚なこぶたちゃんが描けたような、、、、
自分だけの拘りなのかもしれないのですが。

というわけで、ごきげんなこぶたちゃんと仲間たち、可愛がってくださいね。
どんな仲間が登場するかは、絵本の扉を開いてからのお楽しみです。

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by pukuminn | 2015-04-03 04:20 | おしごと