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ひろかわさえこの絵本とそれから・・・


by pukuminn

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2012年の夏のこと、
「震災で消えた小さな命展2」
http://chiisanainochi.com/inochiten2/02_home.html
の絵の依頼が私の元に届きました。
しずく、ひめ、奇跡、
福島の放射能警戒区域で屠殺あるいは行方不明になった牛達でした。
しずくは顔が写っている写真が有りましたが、ひめと奇跡の親子は顔が判別出来ない写真で、さてどうしたものか、と困ってしまいました。
黒毛和牛です。ネットで画像検索をかけると霜降りのお肉の画像ばかり出てきます。関東近隣の牧場を調べても、居るのはホルスタインかジャージー種です。
それに、ネットに写っている牛達を描く気持ちには、どうしてもなれませんでした。
やはり、被災した牛でなければ、少なくとも福島の黒毛をモデルに描かなければ、この牛たちを描いたことにはならない、、、そんな想いが有りました。
そんな時、福島の『希望の牧場』
http://fukushima-farmsanctuary.blogzine.jp
の公開討論会が渋谷で開かれる事を知りました。
まず、牛たちの現実を知ろう。
そう思って足を運びました。
福島の警戒区域に指定された土地には、原発事故当時3500頭の牛、30000頭の豚、440000羽の鶏が飼育されていました。
事故後、その過半数が餓死したとされ、かろうじて生き残った家畜については、国の指示で地元自治体による殺処分が実施されました。
放射能に汚染され経済価値が無くなった家畜は、生かしておけば家屋に侵入したり、庭を荒らしたりの弊害しか生まない、という理由です。
でも、そんな中で牛達を生かし続けている人たちが居ました。
『希望の牧場』はその中の一軒であり、震災直後から牛を生かし続けることの意味を、そして脱原発を、国に訴え続けています。
私は『希望の牧場』の公開討論会やシンポジウムに何度か足を運び、会場のパネル展で写真に写っている牛達を,スケッチさせてもらいました。
そのスケッチを元に描いたのが、「震災で消えた小さな命展」に出品した3頭の牛の絵です。

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知る、という事は素晴らしい事ですが、怖い事でもあります。
知る前の自分には戻れないからです。
そして、知る前には思いもしなかった場所へ自分を運んで行きます。
命展のシンポジウムなどで、被爆した牛達の事を話しながら、やはり、どうしても、私が描いた牛たちをこの目で見なければ、そういう想いがつのっていきました。
今月の9日、命展で知り合った仙台のMさんの車で,福島から『希望の牧場』のある浪江町へ向かいました。
途中飯館村辺りは、民間人の姿は無く、除染の作業員や警備の人だけ。大きなビニールに包まれた除染土の山が,数限りなく並んでいました。
まだ終息していない福島原発。
この除染済みと言われる土地が、また基準値を超えてしまう日は来ないのだろうか?
この大量の汚染土は、いったい何処へ運ばれるのか?

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希望の牧場入り口に到着

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『希望の牧場』のどかな景色です。

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f0269910_16324530.jpgやっと会えた黒毛和牛

 













牧場長の吉沢さんのお家で珈琲をごちそうになりながら、「良い風が吹いて来ますね、気持ちいい」と言ったら、「あっちの方からだけどね」と。
示された方向の14キロ先に、福島原発の煙突が並んでいるのが、うっすら肉眼でも確認できました。

少しだけ、餌やりを手伝わせていただきました。配合飼料を桶に入れて牛舎にいる牛たちの前にまいていきます。
桶に飼料を入れるそばから、食いしん坊くんたちが,鼻面で押し入って来ます。なかなか強引。

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なにたべてるの?おいらにもおくれよ〜


























親子の牛もいます。f0269910_16491782.jpg

















去勢が間に合わない間に、メスの牛達は皆妊娠してしまい、震災後にはたくさんの子牛が生まれました。でも、母牛の栄養が満足ではなく乳の出が悪くて、育たなかった子牛もたくさんいたそうです。一時は、そんな子牛や、群れで食い負けした牛が毎日ばたばたと倒れていったのですが、今は落ち着いているそうです。ここまで来るのに、どんなに苦労されたことかと思います。

広い放牧場、どうみても清々しい景色です。
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その片隅に墓標があります。

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死んで行った牛たちのお墓です。一時は埋葬が間に合わず
牛の死体が積み重なっていたそうです。パネル展にはその写真も出ていましたが、今は柔らかな芝が覆っています。



牛さんの落とし物。
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線量がとても高いそうです。牛の体内で濃縮が進んでいる証拠でしょうか。

『希望の牧場』は警戒区域の見直しで、今は宿泊は出来ないものの、自由に立ち入る事が出来る区域になりました。
それでも、牧場の人達は、日々被爆しながら牛の世話を続けています。
何故、そうまでして生かし続けるのか?
内からも、外からも投げられる疑問に、答えは「牛が好きだから」なのですね。
原発から12キロの人の居なくなった富岡町で、やはり生き物の世話をし続けた松村さんの、

「だって、なんでこいつら、
    生きてちゃいけないの?」


私にはこの素朴な言葉が、ずしっと心に残っています。

「汚染され引き取り手の無い牧草を食べさせる、これは緩慢な殺処分ではないのか?」と質問した人がありました。
でも、生き物はみんな緩慢に死へと向かっているのです。いずれ死ぬのだから,殺していいという事にはならないと、私は思うのだけど。

ほんの数時間の訪問でしたが、自分の目で見て肌で感じた事は、今この時間の牧場を、牛たちを、リアルに想像する為の糧になりました。感謝。
牛、大好きです。

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「希望の牧場」サポーター基金
http://fukushima-farmsanctuary.blogzine.jp/blog/fund.html

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by pukuminn | 2013-10-26 17:31 |

ちいさな駅美術館の展示

過ぎてしまったので,事後報告ですが、9月3日から29日まで、和歌山県の有田川町、
JR藤並駅構内の「ちいさな駅美術館」で、原画展をやりました。
前半は「ともだちになろうよ」と「もしもしトンネル」
後半は、「ちいさなやさいえほん」3冊の展示でした。
私は7日にお邪魔して、子どもたちへの読み聞かせの会と、
大人向けに絵本のお話をさせていただいて来ました。
駅の改札を出たらすぐにある、この「ちいさな駅美術館」は、
毎月、絵本中心の原画展示をしていて、絵本図書館のように絵本の蔵書がいっぱい!
子どもたちが、ゆっくり楽しめる、温かいスペースも用意されています。

f0269910_17562535.jpg 原画展の入り口です。

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ご来場下さった方に配られる特製のチケット、ぷくちゃんの絵を入れてもらいました。
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絵本の展示スペースです。木の良い匂いがします。
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私の絵本をたくさん、飾ってくれていました。
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JRきのくに線藤並駅のちいさな駅美術館、機会があったら、ぜひ
のぞいてみて欲しい、可愛い美術館です。
by pukuminn | 2013-10-17 18:15 | イベント

ちいさなやさいえほん

9月に、あかちゃん絵本が3冊上製されました。
うれしい・・・・

ぷくちゃんシリーズ以来のあかちゃんものです。
ぷくちゃんも、2、3歳くらいの、まだあかちゃん、と呼べるくらいの
小さな子どもたち向けでしたが、
あれは、あかちゃんと同時に子育てをするお母さんに向けて
伝えたいメッセージがあって出来た本でした。
その時点で、自分の作りたいあかちゃん絵本を、思い切り追いかけた本
でもありました。

なので、ぷくちゃんが出来てしまうと、あかちゃん絵本という場から
私自身は少し遠のいていたのです。
やりたいことはやった・・・の満足感でもありました。

2010年に出版された[やさいむら]シリーズ(偕成社)を作ったあと
ふっと、やさいであかちゃん絵本を作りたくなりました。
あかちゃんが見て笑顔になる絵本、自然に手をのばしてくれる絵本、
「もっかい、もっかい」と何度も開いてくれる絵本。
私なりに、絵本を作ってきた中で学んだことを、ぎゅうっと
詰め込んだつもりです。
たくさんのちいさな手に、だっこしてもらえますように・・・


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表紙、そろいぶみ♫

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それぞれの最後のページ 「ごはんですよ、はい、どうぞ〜」

ちいさなやさいえほんシリーズ
「おまめちゃん」「じゃがいもちゃん」「ぷちとまとちゃん」
 偕成社 ¥600+税

by pukuminn | 2013-10-05 10:00 | おしごと