ひろかわさえこの絵本とそれから・・・


by pukuminn

カテゴリ:日々のこと( 23 )

滝平二郎展

すっかり梅雨空になりました。久々の更新です。

昨日、「そうだ!もう会期が終わってしまう!」と出先の帰りに、三鷹市美術館で開催中の「滝平二郎展」に行って来ました。
滝平さんの「きりえ」は朝日新聞の日曜版の8年4ヶ月に渡る連載であまりに有名ですが、本来は木版画家であり、児童出版美術家連盟が出来た年からの会員で,絵本作家の大先輩にあたる方です。
そういう意味ではかなり見慣れてしまった絵のイメージがあったのですが、これが期待をはるかに超える素晴らしい展示でした。
f0269910_16543855.jpg



私が特に好きだったのは、古い時代の農民を題材にした木版画でしたが
荒削りながら一刀一刀が実に的確で、農夫の内面まで踏み込んだ表現に何度も会場を戻って見入りました。
後の「八郎」や「三コ」に描かれた大男の、見事に鍛えられた筋肉の美しさが、労働の賜物である事がわかります。

有名な先輩といえども、その年譜はほとんど知らずに来たのですが、
滝平さんは、21歳の時に太平洋戦争に徴兵され、あちこちの戦線を転々とした後に、
沖縄で終戦を迎えています。
何ヶ月にも渡り,沖縄の山地を逃げ回った悲惨な体験を描き残したペン画も展示されています。
そして、戦後おもちゃも絵本も無い時代に甥っ子さんの為にと、アンデルセンの「裸の王様」を版画で手作り絵本に仕立てたとのこと。…そして、何故「裸の王様」を選んだのか?
ここで全部書いてしまっては、これから見にいかれる方に申し訳ないので書きませんが
たいへん心惹かれるエピソードです。

三鷹市美術館は、時々凄く良い展示をするのに、あまり宣伝をしていないせいか?たいがい空いていて、ゆっくり展示が見れるので、とても好きな場所です。
「滝平二郎展」は7月2日まで。
是非、急いで見に行って下さい!三鷹市南口のデッキから直通のコラルビル5階です。

f0269910_16551318.jpg





by pukuminn | 2017-06-28 17:22 | 日々のこと | Comments(0)

40年前のキャラクター

時々、施設に入っている母のところに慰問に行くのですが、
母の部屋で懐かしいものを見つけました。

私が40年前に某印刷会社のデザイン室…印刷会社の社長夫人が経営する
文具メーカーに勤めていた頃、描いていたキャラクターのメモ帳です。
まあ、よく残っていたこと!
当時は、ノートや便せん封筒、鉛筆や消しゴムや、いろんな物に展開して
銀座にあった文房具屋さん、クロサワって言ったっけ?のショウウインドウを飾った事もあったのです。
今見ると、「よくこんな稚拙な絵で、出来たな〜」と思ってしまうのですが。

TOMOKO&KUROBE

f0269910_17441266.jpg


赤い帽子の女の子がTOMOKO,
KUROBEはお伴の子犬。
大学を出たてで、最初はステッカーのデザイン、
それからキャラクターを作るために
仕事の半分は、せっせと絵を描かせてくれていた会社は、
今思うとずいぶんのんびりしていて
イラストレーターを育てる…という姿勢があって、ありがたい環境だったと思います。
でも、カラーインクとか使って好き放題描いていた私に、先輩のデザイナーのお姉さんが

「新人で特色使うようなキャラクター作っても、コスト的に出来ると思ってるの?」

え?新人いじめ?って、でもその通り!
う〜む……で、考えたのがこのBlack+特色1色で出来るキャラクターでした。
で、これが色の溢れる文房具売場で、思いがけない新鮮さ!
で、ちょっと売れてたんですよ。
結局、キャラクター文具業界にずっと身を置いてしまうと
自分の絵が変わって行ってしまう…と、
まだ自分の絵なんてぜんぜん描けていたわけでもないのに
生意気なことを思って2年足らずで,退職したのでしたが。

でも、このキャラクターは、
福島の裏磐梯にある、『ペンションとも』の談話室の壁に描いてきて
それは、今も残っていて、
娘たちと毎年のように行き、
まだ交流が続いていたりするのです。
by pukuminn | 2017-04-18 18:07 | 日々のこと | Comments(2)
昨日の午前中は親子地域文庫連絡会さまのお世話で池袋で講演会。
いつも「子どもの本・九条の会」でご一緒している仲間が中心になってくれていたせいか
あたたかい気に包まれているのを感じながら
楽しくお話させていただきました。
皆様、ありがとうございました!

そして、午後は「この日を逃してはもう行けないかも!」と思ったので
まだ少し足が痛みましたが、ちょいと足を延ばして信濃町へ。
3日からアートコンプレックスセンターの地階ギャラリーで、井上洋介さんの大きな遺作展が開催されています。
神沢利子さんの「くまのこウーフ」の挿絵で、あまりにも有名な井上洋介さんですが、今回は若い時からずっと描き続けていたタブロー480点。どっぷり浸って来ました。


アートコンプレックスセンター入り口
f0269910_16514457.jpg


地下の縦長の広いギャラリーの壁一面に設営された洋介さんの絵
f0269910_16523377.jpg


赤の時代といわれる年代の絵画群
f0269910_1653356.jpg


絵は井上洋介さんの年代を追って並べられているのですが、
もう学生時代の絵の時点でその世界は築かれていたような印象を受けました。
450枚の絵は一貫した壮大な絵巻のようであり、
見終わって殴られたようにジーンと頭が痺れた感覚。
絵の発するエネルギーにしばし言葉が出ませんでした。

今日になっても、このブログを書こうとして躊躇します。
簡単に言葉にするのが憚られるのだけど、
一貫して流れているものは
とてつもなく深い哀しみのような気がしています。
想像の世界の絵のようで、
実は井上洋介さんがリアルに体験していたのではないかと
そんな気にさせられるのです。
絵に対する好みはいろいろあると思いますが、ひとりの画家が一生かけて描きつづけた世界が心をうちます。
特に絵を描いている人は、足を運んでみるべきだと思います。

絵を見ながらそういえば、、、と思い出した本があります。
草森紳一「日本ナンセンス画志」装丁が井上洋介さんでした。
まだ学生時代に読んだその本の強烈な装丁画の印象が蘇って来ました。
草森紳一さんの本が好きで何冊も読みあさった時期でしたが、その中で初めて井上洋介さんの絵に出会った・・・それはウーフを目にするずっと前の事だったのだな、と感慨深いです。

f0269910_1791097.jpg


禍々しい餓鬼の世界を描く墨絵の迫力
そして、ウーフのなんという素朴な可愛らしさ!
どちらも1970年前後の作です。

井上洋介没後1年大誕生会は12日まで。
f0269910_1726196.jpg

by pukuminn | 2017-03-05 17:49 | 日々のこと | Comments(0)

天のお告げ

二月は逃げると言いますが、ほんとにもう3分の2過ぎてしまいました。
とても鈍足の私では追いつけません。
その2月、楽しい事も色々有りました。
11日は福岡の古賀新宮子ども劇場でお話をして来ました。
福岡春日原の児童書専門店エルマーの前園さんと一緒です。
前園さんの絵本や紙芝居のお話と、後半は私の絵本の話ともう少し。
もう少し…というのは、主催者側からの要望で、是非皆で平和のことを考える時間をということで、
11月の三鷹にならい、ベトナムの戦跡と平和村、メッセージ展に出している「ベトナムの女の子」の絵の事をお話して来ました。
けっこうな長い時間、子どもたちもよく聞いてくれました。
最後にみんなで記念撮影。

f0269910_1748623.jpg


お顔に靄がかかっていないのが、春日原のM女王様ことエルマーの前園さん。
かけ出しの頃からお世話になっている恩人です。
やはり、子どもたちの未来の社会について,不安を抱かれる方も多く、
しかも子どもたち自身からも,非戦に対する疑問などが出てきて、
普通の絵本のお話会+平和について考える会の要望が増えてきているようです。
いっしょに考えて行きましょう…そんなきっかけ作りしか出来ませんが
やれる事ならやらないとなぁ、と思います。

帰りは,当然ターミナルでお土産膨れして、最後の仕上げ。
いちごだいふく〜

f0269910_1814433.jpg


福岡から帰り、やりかけのお仕事をアップ。
今年の鈴木出版「こどものくに たんぽぽ版」6月号。
間部香代さん作の「だいすきだよ」です。
では、ちょっとだけ…

f0269910_1852234.jpg


かえるちゃん、なにを想っているのかな?
そのお話は、また発行されてからにしますね。

一仕事終え、母の見舞いも行き、ちょこっと遠出でも…なんて思っていたのですが
なんと一昨日,小さな段差で足を捻り,右足をひどく捻挫してしまいました。
ただいま、足がパンケーキみたいに腫れています。
ううう、どこへも行けない…机の前に座っているしかない…

たくさん仕事がまっているであろう。さっさと進めよ!

天のお告げでした。
by pukuminn | 2017-02-19 18:16 | 日々のこと | Comments(0)

謹賀新年

あけましておめでとうございます!

f0269910_1585841.jpg



2017年があけました。今年は例年以上に,いろんな事が納まらず、元旦から仕事をしています。
したがって、大掃除はもちろん、お節も手抜き、なんでこんなにバタバタなんだろう?と思ったら、酉年じゃないですか!
いえ、すみません。本来は慌ててバタついているのではなく、未来に羽ばたく鳥のイメージですよね。
今年は、どんな年になるのでしょう?
星占いによれば、12年に一度の大きな転機が訪れるとか、、、
転げ落ちるのではなく良い方のね。
とりあえず、期待を胸に、目の前の仕事をがんばる年明けです。
皆様、年賀状お出しするのは無理かと思いますが、
どうぞ今年も、よろしくお願いいたします!
by pukuminn | 2017-01-02 15:19 | 日々のこと | Comments(0)

どいかや展

やっと秋らしい青空が見えました。
今年は夏から雨ばかりで、
いつの間にか散り始めた街路樹の桜の葉…
なんだか色が冴えません。
お山の紅葉も、今年はイマイチなのかしら。

昨日は母の見舞いを終えたあと、武蔵野吉祥寺美術館で開催中の
どいかやさんの展覧会に行って来ました。
アリス館発行の「チリとチリリ」を中心に、デビュー作から新作の「ひまなこなべ」まで
約240点の原画、とても見事でした。
やはり、絵は人。
どいかやさんの、たたずまいそのままの、ゆたかな森
静かなのだけれど、
耳を澄ますと、小さな小川のせせらぎや、たくさんの鳥のおしゃべりや、
どうぶつたちの密やかな足音や、いろんな自然の音が聞こえて来る世界です。
そうそう、ちいさな女の子の笑い声も、まざっていました。

無味乾燥の病院帰りだけに、思い切り癒していただきました。
どいかや展は、11月13日まです。

f0269910_23194729.jpg


今回は26歳のデビューから20年間の集大成とのこと。
26歳〜46歳かぁ・・・・私は何をしていたっけ?と考えてしまいました。
絵本デビューは34歳だったけど、娘達を授かって、シングルになって、
ひとりで育てて仕事して、いちばんグッチャグチャな頃でしたね。
今でも、あまり進歩していませんけれど。
私の世界はこれです…ときちんと示せる仕事が出来ているのかな?と
少々自省もするのでしたが、
それはもっと先にしても良いかな…という気持ちも有るのです。
結果は後からついてくる。
人生は短い。とりあえず,前に進もうっと。
by pukuminn | 2016-10-15 23:42 | 日々のこと | Comments(0)

10月

10月になってもう1週間。
あっという間に毎日が過ぎて行きます。
母が今年になって2度目の入院生活。
93歳と高齢なので、毎回、あわや!という気持ちになるのですが
入院して2週間、退院出来る望みも出てきて、やれやれです。

そんなバタバタで、結局もう来年の仕事を睨んで、のんびりもしていられなくなって来ました。
そうそう、1月〆切の小さなお話にも、そろそろ手をつけなければ。

来年は初夏に単行本の出版が2冊,月刊誌が1冊
夏に紙芝居
秋に単行本2冊の予定、、、えええぇえ〜?出来るのかしら?
忙しいうちが花ですから、と言われます。
でも、好きな仕事だから、大変でもなんとかやれるし、
しあわせな事です。
来年は、若い作家さんからの絵のご指名も2件。
自分の絵が世代を超えて,支持されるのは嬉しいことです。
さあ、楽しんでいきましょう♪

10月は私の誕生月でもあり、1年中でいちばん好きな月。
神無月という名前も好き。
ブラッドベリの『十月はたそがれの国』も好き。

チャイルド社のカレンダー、10月から私の絵になりました。

f0269910_23491529.jpg

by pukuminn | 2016-10-07 23:55 | 日々のこと | Comments(2)

きゃべつくん

きゃべつくんです。
そう、長新太さんの絵本に出てくる、あの、きゃべつくん。
でも、キャベツじゃありません。
きゃべつくんの中身はあんこです!

f0269910_1447488.jpg


先週末の静岡JPICの読書サポーター講習会の講師をしてから足を延ばして名古屋、そして刈谷市美術館で開催されている、「長新太の脳内地図展」に行って来ました。
写真のきゃべつくんは、刈谷市美術館に併設されている「佐喜知庵」というお茶室でお抹茶と一緒にいただいたものです。
名古屋の老舗の和菓子屋さんの製で、とても美味しいきゃべつくんでした。

「長新太の脳内地図展」は、
以前、横須賀美術館でやっていた時に見逃して残念な思いをしていたので喜びいさんで行きましたが、ほんとに見れて良かったです。
今迄も、長さんの原画を見る機会は有りましたが、今回ほど纏まった点数で見られたことは無かったので、感激でした。
やっぱりね〜、長新太さんは素晴らしい。
見るものの観念を、スコーンとホームランみたいに飛ばして裏切ってくれて、ああ、おかしい!
そしてその笑いの底に、大事な大事なものがある。
何者にもとらわれずに真っ直ぐこどもたちに向っている心…って言ったら良いのかな。
いやいや,こどもにむかっている大人の視線では無くて、こどもたちと同じとこに立って、同じように感じ、同じように驚きおもしろがっている。
脳が硬化しているおとなにはとっても難しいことだけど、
でも、そんな私たちにもたまらない魅力をかんじさせてくれます。

時々、心して、長さんの絵本の中に帰って来たいと、思いました。
やれること、描ける絵はみんな違うけれど、
それでもなんとか、この場所が有ることを忘れずに。

きゃべつくん、食べられて嬉しかったけど、横須賀美術館に有ったらしい猫たくさんの絵の「顔はめ」が無かったのは残念でした。

f0269910_15352980.jpg

by pukuminn | 2016-08-27 15:55 | 日々のこと | Comments(0)

西荻窪かいわい

久しぶりのブログアップです。
年があけてから、仕事がどんどん忙しくなってしまい…
今は春に出る(もう春ですけどね)新刊の絵を,毎日頑張っています。

でも、昨日はちょっと中休みをとって、西荻窪まで。
私が住んでいる三鷹から2駅。
西荻のウレシカギャラリーで、とりごえまりさんとやまぐちめぐみさんが作った
絵本の原画展を見るためです。
ウレシカもずっと行きたかったお店なのだけど、なかなか叶わずにいたので
やっと行けてうれしか。

お会いしたことは無かったけれど、昨年の秋に亡くなってしまった
やまぐちめぐみさん。「コトリちゃん」という絵本。
最後の2枚を描き残して亡くなられてしまったとか…どんなに心残りだったことでしょう。
それをちゃんと,形に仕上げたとりごえまりさん。
もともと、おふたりの交流から生まれた絵本ということで、
きっと、やまぐちさんも空の上でほっとしていますね。
なにか、とっても純粋な、そして掌に小鳥を乗せたときのような温かさの、
静かな絵が並んでいました。
15日(月)までです。

f0269910_16175498.jpg


西荻は懐かしい街です。
だいぶ新しいお店も増えましたが、商店街の雰囲気はあいかわらず。
昔はよく飲みにも通ったし、いろんなことがありました。
友達も住んでいましたが
みんな引っ越したり、亡くなったり、
あの顔この顔,思い出して珍しくセンチメンタルな気分になりました。

さて、今日からまたお仕事モード全開で。
早く仕上げて、温泉でも行きたいな〜っと。

f0269910_16242655.jpg

    ★新刊絵本から、ちょっとだけ
by pukuminn | 2016-02-13 16:32 | 日々のこと | Comments(4)

今朝の雪

f0269910_14451060.jpg


今朝の雪で,今日の予定はキャンセル。
おかげでちょっとゆったり、仕事ができます。
今年は短期だけど、久しぶりの連載も有って、けっこうなハードワークになりそうですが、働ける内に,働けということ・・・ですね。
こんな時代に、ありがたいことです。頑張りましょう。

それに、楽しみな仕事が多いです。
というより、どの仕事もそれぞれに楽しみです。
作絵の仕事ももちろんですが、素敵な作家さんと組む仕事や、久しぶりの続刊も有るかも♪
少し,自分の愚図も治して、早め早めの準備を…なんて、いつも最初は思うのです。
でも、それが、なかなかで・・・
でも,今年は追いかけてくるものが多いので、ぼんやりしててはダメですね。

新年早々に、大量の中国版のゲラが送られて来ました。
1998年にあかね書房から出した、「おやすみなさいのまえに」シリーズの6冊の絵本です。
「おやすみなさいのまえに」は、「睡前故事」なのね。
故事=ものがたり。なるほど、なるほど。
簡体字も有りますが,中国語版は基本的に漢字なので、日本語と照らし合わせると,面白いです。
中とじの簡単な装丁で6冊がセットで箱入りで売られるようです。
セットで72元、日本円で1280円くらいですが、これは中国の物価で高いのか安いのか?
中国の子どもたちにたくさん読んでもらえると良いですが。

f0269910_1512717.jpg


しばらく、足元が悪そうですね。
雪解けの風は冷たいです。
転ばないように、風邪などひかないように、気をつけましょう。

f0269910_15151366.jpg

by pukuminn | 2016-01-18 15:23 | 日々のこと | Comments(2)