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ガラスの梨 ちいやんの戦争

五月晴れの空も、9月10月の秋晴れの空も、12月の冷たい空も
どれも青い空に変わりはないのに、
8月の晴れわたった空が、深い悲しさを呼び起こすのは
どうしても心の中で、戦争と結びついてしまうから。
もちろん、原爆の朝の空も、戦闘機が飛び交う空も、敗戦の日の空も
私が見たわけではない。文字で、映像で,語られて来たものが染み付いている。


越水利江子さんの「ガラスの梨 ちいやんの戦争」(ポプラ社)を読みました。
ちいやんと呼ばれる女の子の目を通して
戦時下のつつましい暮らし、肉親を失う悲しみ、否応無しに戦争の災禍に巻き込まれる
人びとがリアルに描かれています。
人だけではありません。戦争などというものには全く無関係な動物たちも、賑わっていた町も、
そこここにあった思い出も、みんな燃えてしまいます。
越水利江子さんは、昨夏の京都で、小澤俊夫さんの講演会の打ち上げでお会いしましたが
ほぼ,私と同じ世代の方なのに、どうやってこのリアルさが描けたのか?
綿密な歴史考証と想像力、どれだけこの物語に入り込んで描かれたかと思うと
私まで胸が苦しくなりました。
ちいやんは、越水さんのお母様がモデルとのこと。
お母様に伝えられたことを、越水さんはどんなに苦しくても
描かずには居られなかったのだと思います。

70年前の戦争で、まったく傷つかなかった家族は、日本に無いのではないでしょうか?
私の母も次兄を満州の戦場で亡くし、画家だった長兄は東京の空襲で大やけどをおいました。
まだ二十歳そこそこの娘が、男手の無い中、真っ黒になって家業の酒屋を手伝ったそうです。
今、また戦争好きな輩が蠢いているような気配がします。
私たち戦争が終わって生まれた世代が、次の世代に向けて
「平和というものは、努力無しでは守れない」という事を
どうやって伝えて行くか?
青い空を見上げても答は書いてないのです。