滝平二郎展
2017年 06月 28日
すっかり梅雨空になりました。久々の更新です。
昨日、「そうだ!もう会期が終わってしまう!」と出先の帰りに、三鷹市美術館で開催中の「滝平二郎展」に行って来ました。
滝平さんの「きりえ」は朝日新聞の日曜版の8年4ヶ月に渡る連載であまりに有名ですが、本来は木版画家であり、児童出版美術家連盟が出来た年からの会員で,絵本作家の大先輩にあたる方です。
そういう意味ではかなり見慣れてしまった絵のイメージがあったのですが、これが期待をはるかに超える素晴らしい展示でした。
私が特に好きだったのは、古い時代の農民を題材にした木版画でしたが 荒削りながら一刀一刀が実に的確で、農夫の内面まで踏み込んだ表現に何度も会場を戻って見入りました。 後の「八郎」や「三コ」に描かれた大男の、見事に鍛えられた筋肉の美しさが、労働の賜物である事がわかります。
有名な先輩といえども、その年譜はほとんど知らずに来たのですが、 滝平さんは、21歳の時に太平洋戦争に徴兵され、あちこちの戦線を転々とした後に、 沖縄で終戦を迎えています。 何ヶ月にも渡り,沖縄の山地を逃げ回った悲惨な体験を描き残したペン画も展示されています。 そして、戦後おもちゃも絵本も無い時代に甥っ子さんの為にと、アンデルセンの「裸の王様」を版画で手作り絵本に仕立てたとのこと。…そして、何故「裸の王様」を選んだのか? ここで全部書いてしまっては、これから見にいかれる方に申し訳ないので書きませんが たいへん心惹かれるエピソードです。
三鷹市美術館は、時々凄く良い展示をするのに、あまり宣伝をしていないせいか?たいがい空いていて、ゆっくり展示が見れるので、とても好きな場所です。 「滝平二郎展」は7月2日まで。 是非、急いで見に行って下さい!三鷹市南口のデッキから直通のコラルビル5階です。
by pukuminn
| 2017-06-28 17:22
| 日々のこと