ひろかわさえこの絵本とそれから・・・


by pukuminn

大久野島からのバトン

報告が少し遅くなってしまいましたが、
6月末に、装画を担当した「大久野島からのバトン」が上製されました。
「文学のピースウォーク」全6巻の中の1冊、新日本出版社です。
作は,初めて組ませていただく,今関信子さん。

戦後70年,戦争の記憶が薄れて行く中で、いかに戦争の悲惨さを子どもたちに語り継いで行くのか?
実際に経験していない私たちが、そこにリアリティーを作り上げられるのか?
難しいけれど、探っていかなければならないテーマだと思います。
対象がヤングアダルトということで、その分野に経験の無い私…
描けるのかしら?と,不安だったのですが、
現在の大久野島はウサギが繁殖して「うさぎ島」で有名な島
「うさぎなら描けるかな?」と、受けてしまいました。
ところが、原稿を読み進むにつれ、うさぎ島に隠された歴史の重さに
「これは大変な仕事を受けてしまったかも…」という思いがひしひしと。
大久野島は,第二次世界大戦中、国際法で禁止された毒ガス兵器を作る工場が置かれ
日本の地図から消されていた歴史があるのです。

この本に私が描ける絵はいったいどんな絵だろう?
大久野島まで取材に行く時間は有りませんでしたが、
数年前に行った祝島の瀬戸内の景色を思いました。
70年前にも、かわらずそこにあっただろう
穏やかな瀬戸内の海と島々
海から吹いてくる風、明るい陽光…
そして若い命。
時を超えてだいじなだいじなもの。
そんな思いを込めて描いてみました。

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この本を書くにあたって、今関さんが積み重ねられた取材と調査、
それを今に繋がる物語に作り上げた素晴らしいお仕事に
本当に頭が下がります。
探り探り,描かせていただいた絵にも、暖かいお言葉をいただきました。
とても有り難かったです。
本文には、うさぎのカットもいっぱいです。
6冊揃ったところでの,原画展の企画も有るようです。
そのお知らせは、またそのときに。

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by pukuminn | 2016-07-29 00:19 | おしごと