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ひろかわさえこの絵本とそれから・・・


by pukuminn
4月の9日から14日、ベトナムのホーチミンに行って来ました。
御縁があって、「震災で消えた小さな命展」の複製画が、ホーチミンの戦争証跡博物館に展示されています。博物館の館長さんが、戦跡見学や枯れ葉剤の被害にあった人々との交流などを企画してくださるというので、めったにない機会と参加しました。
5泊6日の旅、二日は移動でとられ中4日でしたが、
見た事、知った事、感じた事、
楽しい事、辛い事、美しいもの、景色、ひと、
ぜんぶ、抱えきれなくて、今でも整理しきれません。
でも、伝えたいこと、伝えなくてはならないことが有るように思うので、
探りながらブログに書いてみようと思います。

まずは、戦争証跡博物館のこと。
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ここは,ベトナム戦争の貴重な資料を展示する博物館。
門を入ると左右に戦闘機や戦車が展示されています。直に見ると、大きさに圧倒されます。

ベトナムの旅 その1 戦争証跡博物館_f0269910_17412549.jpg
日本の軍隊も、第二次世界大戦の頃にはベトナムに侵攻していましたが、
第二次世界大戦の直後から始まったベトナム戦争は1975年まで、実に30年も続きました。
私の生まれる前から始まって、サイゴンが陥落して戦争が終わったのは,22歳の時です。
十代の頃、日々新聞やニュースで報道されていたベトナム戦争は、
海の向こうの事ではありましたが、確実に私たちの青春時代の一部でも有りました。
「安保反対!」と「ベトナム戦争反対!」セーラー服で飛び入りデモしたのは
今では軽薄だったと思うけれど、対岸の火事とは片付けられない空気が残っていたのです。
大學の頃には、まだあった立川基地でベトナム戦争で戦死したアメリカ兵の身体を洗浄する高額なアルバイトが有るという話を聞きました。
およそ300万人近くのベトナム人が死亡、400万人のベトナム人が負傷し、また5万8千人以上のアメリカ兵が死亡したといいます。
ベトナムにもアメリカにも、大きな傷跡を残した戦争でした。

博物館の中には大きな展示室がいくつかあり、世界中の戦場カメラマンが撮った、ベトナム戦争の写真がパネル展示されています。日本の沢田教一、一ノ瀬泰三、石川文洋の写真もあります。
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この博物館には、結局毎日行くことになりましたが、とても人が多く
土日には5000人、年間60万人の外国人が訪れるそうです。
ベトナムの人々の、二度と戦乱の国にはしないという誓いがここにあります。
ベトナムの平和は、ベトナムの人々が本当に戦い勝ち取った平和です。
皆がそれを誇りに思っていることが伝わってきます。
目を背けたくなる辛い写真もありますが、是非多くの人に見て欲しい展示だと思います。

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            武器の残骸から作られた、ベトナムの母の像


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1階のホールから見上げた吹き抜けの天井の青い空



# by pukuminn | 2015-04-18 18:42 |

春のうさぎ

お知らせふたつ

ひとつめ。
遅くなりましたが、13日から青山のPinpointギャラリーで始まった
「中川ひろたかタッグマッチ展」に出展しています。
中川さんと、中川さんがこれまで組んで来た画家五十数人とのコラボ展です。
どんな展覧会になっているのか?実は私もまだ見ていません。
「ともだちになろうよ」からちょっと懐かしい、あのふたりを描きました。
会いに行ってね。私も近々・・・と思っています。

「中川ひろたか タッグマッチ展」
2015年4月13日(月)〜4月25日(土)
11:00~19:00 土曜日17:00まで 日曜休み
青山Pinpointギャラリー
http://www.pinpointgallery.com/cn8/201504/pg5045.html

       
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ふたつめ。
こちらも遅くなりましたが、昨年月刊誌デビューした「たんぽぽでんしゃ」が
3月に市販本になりました。
「もしもしトンネル」の続編ですが、実はお話が出来たのはこちらが先でした。
そんなことも、あります。
幼なじみのYちゃんがいないと、幼稚園も行けなかった自分の小さい頃が
ベースになったお話です。
ちょっと引っ込み思案な子が居たら、読んであげてほしいお話です。

「たんぽぽでんしゃ」チャイルド本社  
   
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# by pukuminn | 2015-04-17 17:08 | おしごと
桜が散りいそぐ雨の東京をあとに、まだ桜に早い盛岡に一泊で行ってきました。
目的は、3月から東北で巡回展が始まった「震災で消えた小さな命展」です。
東日本大震災関連で命を落とした動物たちの絵を描いて、
飼い主さんへプレゼントしようと始まった企画で、今回で3回目になります。
4月2日から5日が岩手県盛岡開催でした。
5日の最終日に私が描かせていただいた絵のわんちゃんの飼い主さんが、会場にみえるということで、急遽、私も駆けつけることにしたのです。

東京から新幹線で北上するにつれて、どんどんお天気が良くなり…晴れ女の面目躍如。

盛岡市内を流れる北上川からのぞむ岩手山、美しい山です。
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会場のクロステラス入り口
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飲食店やファッション雑貨、岩手の物産館など入ったショッピングモールです。

ここが会場
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私も今回の展示を見るのは、初めてで、じっくり見せてもらいました。
今回はそれぞれの動物たちの飼い主さんからのコメントが絵に添えてあります。
どの絵に添えられた言葉も胸をつきます。
いかに震災が過酷なものであったか…
そして、家族を失うことの悲しみの深さ…
3年の月日を経てやっと口に出来たことば…

飼い主さんが会いにきてくれるのを,静かに待っている絵の中の動物たちは
期待をこめてじっとこちらを見ているように思えます。
みんなとても可愛いです。
今回は他の震災や、人災によって不幸にあった動物たちの絵もあります。
ヒトの身勝手さも、垣間見えてきます。

二日目、私が描いた1歳のラブラドールのアランちゃんも御家族と再会することが出来ました。
なんとか,私も責任が果たせてほっとしました。
今回はアランちゃんと、ご家族の中で犠牲になったお嬢さんも一緒です。
まだ17歳。辛いです。
風のように駆け抜けて行った命。安らかでありますように。

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一昨年の秋に、やはりこの展覧会の2で知り合った素敵なお友達・・・浦島さんと千崎さん。
二人共娘みたいなんですけど。
沿岸部の方から時間をかけて会いにきてくれました。
ありがとう。とてもとても嬉しかったです。
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そして、この展覧会の主催者うささんと。

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彼女の身体をはった頑張りが無ければ、
ここまでやって来ることは出来なかったと思います。
私とちがって、小柄で細いのにね。
動物たちのために突き動かされるパワーは凄いのですが
自分の身体も大事にして欲しいですよ。
それから、お写真は無いのですが、
クロステラスの本当に素敵な社長さんの三田さん、マネージャーの北田さん
とってもお世話になりました。
おかげさまで楽しかったです。ありがとうございました。




最後に盛岡に来たから見れた、皆既月食のお月様。
笑ってますよね^^

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# by pukuminn | 2015-04-06 02:35 | イベント

春がきて

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春がきて、また桜の季節です。
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4月、子どもたちのところへ、去年描かせていただいたこぶたちゃんが遊びに行っています。

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鈴木出版 こどものくに たんぽぽ版 4月号
間部香代さんの作になります。

これを描いていたのは、去年の個展の直前だったのですが、
時間に追われていたにも関わらず、とても楽しい仕事でした。
テンポの良いストーリー展開、それに私好みのオノマトペがいっぱい!
作家さんと組んで作る絵本は,何方かと言えば少ないのですが、
その中でも、こういうノリで描けた本はそう多くありません。
何だろう?フィーリング?
お話をいただいた途端に、こぶたちゃんがいる周りの景色がふわっと,頭の中に広がって、
「そうそう、そこには藁の山、畑にはキャベツね…」という具合。

あと、動物が主人公の場合、多かれ少なかれ擬人化というのが有るのですが、
「動物化したヒト」の場合と、「ヒト化した動物」の場合が有るように思うのです。
前者は形が動物なだけで,行動も気持ちもまるで人間。
後者はヒトのような暮らしをしていても本質が動物。
どちらが良いという事ではないのですが、これはとっても似て非なるものに思えるのです。
で、今回のこぶたちゃんは、行動は幼児そのものなのだけれど、
私としては後者の擬人化で描きたかったのです。
で、そういう豚がなかなか今迄描けなかったのですが、今回のこぶたちゃんは
ちゃんと豚なこぶたちゃんが描けたような、、、、
自分だけの拘りなのかもしれないのですが。

というわけで、ごきげんなこぶたちゃんと仲間たち、可愛がってくださいね。
どんな仲間が登場するかは、絵本の扉を開いてからのお楽しみです。

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# by pukuminn | 2015-04-03 04:20 | おしごと

個展を終えて

個展を終えて、あっという間にもう10月も終わります。
個展も中間報告を、、、と思いながら、そんな余裕は微塵も無い、怒濤の毎日(ちょっとオーバー)でありました。
でも、そこに居るだけで、沢山の方が会いに来てくださる、といのは、とても幸せなことです。
何年ぶりかの再会や、インターネットのお付き合いから初めて会う方や、ふらりと立ち寄られたまるで初めての方や、日々刺激的でした。
何のおかまいも出来ませんでしたが、来て下さった皆様、
本当にありがとうございました。

この個展の為に、描こうと思って描けなかった絵が数枚あるような気がしています。
時間が無かった、というのは言い訳ですが
描きたいと思っていた絵は、慌てて描いてもけして生まれて来ない絵だという事を、
この個展を準備していて理解しました。
これから私が挑戦していく世界の入り口にある絵なのかもしれません。
それもこれも、手を動かしてみなければ解らず、手を動かして初めて開き始める、
そんな扉なんですけど。

今回の個展は、実は「あいうえおのきもち」の原画を展示したいという気持ちが
一番元のところに有りました。
「あいうえおのきもち」最初の詩を書いたのは、10年くらいも前のことです。
「あ」から「ん」までの詩は、意外にスムーズに出来たのですが、それを本にするまでに
とても時間がかかりました。それは難航したから、という事ではなく、いろんな理由で
本格的に取り組む時間を逃していたからなのですが、
その間に娘の病気や、東日本大震災や、公私共に大きなことがたくさん有り、
最初の詩を書いた自分と、最後にそれに絵をつけた自分の間には、
大きな変化が有ったように思います。そして、その変化は
「あいうえおのきもち」の絵を仕上げる為に必要な変化だった気がしています。
具体的にどうというのは、難しいのですが
ものの見方や、感じ方や、価値観や、絵を描く気持ちが、どこか変化したのだと思います。
そんなことで、「あいうえおのきもち」の原画は、特にモノトーンの絵が評判よくて
とても嬉しかったです。色を使わない分、ひとの想像力を刺激するのかもしれませんね。
「あいうえおのきもち」は出版して3年ですが、残念ながら、現在再販の予定がないそうです。
限りなく絶版に近いわけで、こういう類いの本では仕方ないのですが、
これはちょっとショックでした。
でも、この個展で持ち込んだ45冊を完売出来た事はとても、幸せでした。
元気が出ました。この本を創って、よかったと思いました。
ありがとうございました。

長い報告になってしまいましたが、少し原画展の画像、追加しておきます。
次の個展はいつできるか?のほほんほんの私なのであてにならないことですが、
また、がんばってみたいと思います。

「あいうえおのきもち」
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新作より 
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# by pukuminn | 2014-10-31 10:00 | イベント